活動報告 宮城県東松島・女川訪問 その1

 2月17日〜19日まで、一箱本送り隊の丹治隊長、井上、南陀楼の三人で宮城県に行ってきました。目的は東松島図書館に送った9,388冊がどのように活用されているかを見ることと、津波で図書館が流されてしまった女川における送り隊の活動の可能性をさぐることでした。

 17日の昼、仙台駅前に集合。仙台在住の岩澤克輔さんが車で迎えに来てくださいました。岩澤さんは昨年の仙台ふらっぐしっぷ、塩釜ブックエイドにもスタッフとして参加していただき、一箱本送り隊宮城県支部長ともいえる方です。1時間ほどで東松島に到着しました。車から見る松島海岸の風景は優美ですが、沿岸のところどころに津波の爪痕が残っています。
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(写真:東松島図書館の館内)
 東松島図書館に到着。館の前には広いスペースがあり、昨年5月5日にはここで「子どもの広場」というイベントが開催されました。そのとき行なわれた本の配布市に、送り隊が本を提供したことが同館とのご縁のきっかけでした。副館長の加藤孔敬さんは当日は風邪を引いていらっしゃいましたが、我々を快く迎えてくれました。同館の蔵書は12〜13万冊。あとで棚を見て回りましたが、本がよく揃っていました。東松島市には分館が5つありましたが、そのうち2館は津波で壊滅したそうです。
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(写真:各地から図書館に届いた本)
 同館は東日本大震災以降、市民に対していち早く本の提供を行なってきました。その一部がサイトで紹介されています(http://www.lib-city-hm.jp/lib/009.2011.3.11zisin/zisin.html)。昨年11月中旬からは「小さな図書室」として、仮設住宅や市民センターなど市内の9か所に本棚を設け、そこに図書館が選んだ本を置いています。寄贈された本は図書館で仕分けられ、ブックコートの装備がされます。この作業のため、震災復興の補助金により、十数人の非常勤スタッフを集めているそうです。スタッフが慣れてきたので、一日に4000冊もの本を装備できるようになったといいます。装備された本は、バーコードが入ってないだけで、図書館に並ぶ本と変わりがありません。どの本もとてもきれいになっています。また、図書館振興財団の援助を受けて、本棚の棚板を増やすことができました。これらの書棚と蔵書は、仮設住宅の役割が終わった時点で、市民センターで引き続き利用される予定になっています。

 今回、送り隊へのリクエストの多かったのは、料理本などの実用書でした。加藤さんはその理由を「8月31日で最後の避難所が閉鎖され、仮設住宅に入ると、自分で料理をするようになりました。そこで、温かいものを口にしたい、料理のバラエティを出したいという気持ちが強くなって、料理本が求められるようになったのではないでしょうか」といいます。また、マンガやビジュアルの多い本が求められる傾向にあるそうです。

 そのあと、本の入れ替えをする加藤さんらスタッフの皆さんの車に同乗して、9か所の「小さな図書館」のうち以下の5か所を見学しました(世帯数は正確ではありません)。
 ★上北谷地 仮設住宅 60世帯
 ★ひびき工業団地 仮設住宅 200世帯
 ★グリーンタウンやもと 仮設住宅 300世帯以上
 ★宮戸市民サポートセンター
 ★野蒜市民センター

 「小さな図書館」は仮設住宅の集会所と市民センター内に設置されていますが、その状況は様々でした。3、4人でいっぱいになるような部屋もあれば、かなり広い部屋の奥に図書館のスペースを区切って設けてあるところもありました。当然、蔵書数にもばらつきがあります。利用の仕方も自分の部屋に持っていっていける場合と、集会所内で読む場合があり、本の管理も貸出ノートを置くところも置かないところもあります。集会所の管理者にその辺の方針はお任せしているそうです。2か所の貸出ノートを見たところ、11月以降で70〜80冊の貸し出しがあり、ジャンルは時代小説、ミステリ、料理、児童書と様々でした。仮設住宅自体の広さ、世帯数が違うため、集会所に行くまでにかなり歩かなければならない仮設もあります。
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(写真:上北谷地仮設住宅の「小さな図書館」で本の入れ替え中)
 私たちが驚いたのは、東松島図書館のスタッフが、これらの「小さな図書館」を2週間〜1カ月ほどで回って、本の入れ替えを行なっていることです。見ていると、同じジャンルでも別の本を入れてみたり、本自体の並べ方を変えてみました。棚の印象が変わると、本を手に取ってみたくなることはよくあります。こういった手の掛け方をしていることが、小さな図書館を「生きた本棚」にしているのだと思いました。
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(写真:ひびき工業団地の「小さな図書館」)
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(写真:ひびき工業団地の「小さな図書館」で本の入れ替え)
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(写真:「おばけ」の本がすき)
 ある集会所では、3歳ぐらいの男の子が絵本を眺めていました。私が「それは何の本?」と聞くと、ページを指さして「おばけ!」と教えてくれます。そして、棚に差さっている別の絵本を見せてくれ、また「おばけ!」というのです。なんだか、嬉しかったです。
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(写真:グリーンタウンやもとの「みんなのとしょかん」)
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(写真:グリーンタウン矢本の仮設住宅)
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(写真:グリーンタウン矢本の「みんなの図書館」の貸出帳)
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(写真:グリーンタウン矢本の「小さな図書館」で本の入れ替え)
 また、グリーンタウンやもとでは、「小さな図書館」のある集会所とは別のブロックの集会所に、「みんなのとしょかん」(http://niccora.jp/minnanotoshokan/)が設置されています。これは一般社団法人「みんなのとしょかん」によるもので、本棚には4000冊の蔵書があり、1週間で5冊借りることができます。受付にはスタッフが常駐しています。貸出帳を見ると、かなりの冊数が借りられていました。また、リクエスト帳には数十冊のタイトルが記入されており、そのうち、送り隊で用意できる本があれば提供することにしました。老眼鏡の貸し出しをするなど、利用者の視点に基づいた施設だと感じました。同様の施設は石巻にもあるそうです。

 見学を終えて図書館に戻り、加藤さんにお話を伺いました。東松島図書館では14年前から市民から本を集め、それを配布するイベントを毎年秋に行なっています。また、東松島市は2010年秋に、『だれもが本に親しむまち』市民協働のまちづくりによる都市宣言を行ない、「親子で読書マラソン」などの取り組みをしてきました。私たちが伺った日も、小学校の生徒数十人が先生に連れられて来館しており、先生や司書の方に教えてもらいながら、本を探していました。
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(写真:東松島市図書館のみなさんと)
 このように、図書館を核として本に親しむ素地ができあがりつつあったところに、東日本大震災が起こったことが、東松島図書館のいち早い活動につながったのではないでしょうか。同館では、今年も10月に本の配布イベントを行なうとのこと。「小さな図書館」も今後、継続していきます。送り隊としても、密接な連携を取っていきたいと、改めて思いました。

 図書館を出ると、外はもう真っ暗。隣の松島市に移動して、日本旅館に投宿。岩沢さんお勧めの定食屋で、美味い魚料理に舌鼓を打ち、夜は早く眠りに就きました。

(その2へ続きます。)
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by honokuri-tai | 2012-02-27 23:48 | 活動報告

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